7月8日(金)の午前に、茅ヶ崎市ならびに非営利団体「サンチャイ・ネパールねぱるぱ」と共催で、茅ヶ崎市民文化会館 大会議室にて、3年ぶりの国際理解講座が開催されました。
今回の講師は、1993年より単身ネパールのパルパ郡に住み、そこの村々を歩きながら支援を続け、「OKバジ」の愛称で現地の人々から親しまれている垣見一雅氏でした。
第一部では、はじめに、ネパールについて、「もしこうだったら、どう対処するか?」と先の心配はせず、そうなった時に考えるという、先のことを考えすぎない国民性があること、日本では当たり前に水が使えることが、ネパールでは往復2~3時間かけて20リットルの水をもらいに行く、水は割当られていると言う認識で人々は生活していることなど、ご自身が経験されたエピソードを交えてご紹介いただきました。
また、異なる文化に入っていくには「我々とは違うのだ」ということを認識し「客になること」が大事であること、そして、今自分が持っているものは、神様からの贈り物であり、その贈り物に感謝するだけではなく、それを使って自分が何をするかを考え行動することによって「何かを与えられるのではないか?」といったご示唆もいただきました。
第二部では、垣見氏がこの30年間ネパールでどのような支援をされてきたのか、写真を交えてお話いただきました。
はじめに、ネパール支援を始めたきっかけについてお話いただきました。大学を卒業し、英語教師をしていたころ、ヒマラヤ登山中に雪崩に遭い、一緒にいたポーターさんが亡くなってしまいました。後日そのポーターさんの村を訪ねると、日本とは全く違う厳しい条件で暮らしていることを知り、教師をやめて単身ネパールに渡り、テント生活をしながら村々を周り、一人で草の根ボランティア始められました。
教育現場への支援として、村に学校や図書館を建てたこと、日本の大使館に掛け合って学校の拡張に協力して貰ったこと、またIV U S A(国際学生ボランティア)によるバイオガス設備の建設などの事例、ジョラ基金(ジョラとは、ネパール語でかばんや袋のことを言う)による小学生への鉛筆やノートの贈り物についてご紹介いただきました。初等教育の進学率は50%だったのが今は100%近いとのことです。
また、幼児教室を設けてお母さんたちが働けるようにしたこと、からだに障がいのある方、火傷を負った方、皮膚病の患者への医療支援や、水を蓄える設備の建設、そして、コロナ禍でお米が入手できなくなっている窮状を訴え日本から多大な資金を集めお米を配ったことなど、30年間多岐にわたり、目の前にあるものをまずは解決してきたと言う垣見氏の数々の活動をご紹介いただきました。
冒頭に茅ヶ崎市男女共同参画課課長補佐の和田佳世氏、終わりに「サンチャイ・ネパールねぱるぱ」代表の永田恵子氏にそれぞれご挨拶いただきました。
質疑応答では、作った学校の運営や先生のお給料はどのような仕組みになっているのか、図書館の本はネパールで調達されているのか、電力はどのように供給されているのか、と言った具体的な質問があり、ネパールの実情を知る良い機会となりました。
会場には、垣見氏の著書や現地の写真集、またネパールの工芸品などの展示もあり、多くの参加者の関心を集めていました。
IAC茅ヶ崎市国際交流協会は2022年度はOKバジさんの活動を支援することが決まり、支援金を講演会後に手渡しました。